旅のしおり:愛媛

1日目

羽田空港 >> 松山空港

下灘駅
バー露口

1日目 Tips
下灘駅の夕景すばらしい。人が少ない時に行きたい場所。
・最近のハイボールブームとは関係ないほど老舗だが、バー露口といえばハイボール。繁華街の真ん中に、ポツンと昭和な一軒家。

2日目

松山 (伊予灘ものがたり) >> 伊予大津 >> 卯之町

山田屋まんじゅう本店
元見屋酒店
宇和ヤマミ醤油

卯之町 >> 宇和島

ほづみ亭

2日目 Tips
ほづみ亭すばらしい。ゆっくり夕食したい。
・宇和島じゃこ天はクール便で発送してくれる所が多い。
・僕の中では、愛媛のお菓子というと「一六タルト」より「山田屋」である。その山田屋の本店は卯之町にある。卯之町は宇和島藩の宿場町だったらしい。

3日目

宇和島 >> 内子

内子座
大森和蝋燭

内子 >> 伊予大洲

臥龍山荘

伊予大洲 >> 松山
松山空港 >> 羽田空港

3日目 Tips
秋の臥龍山荘すばらしい。
・オッサンなのに古民家カフェで遅めの朝食。パンはうまいが気恥ずかしい。
・内子、伊予大洲、卯之町はJR予讃線で見て歩ける。特急停車駅。ローカル線の各駅停車は本数が少ないが、特急利用を組み合わせると、気楽に見てまわれる。運が良ければアンパンマン特急

えひめのおもいで

僕の愛媛に関する知識は、夏目漱石の「坊ちゃん」くらいしかなかった。文学をたしなむ習慣はないので、国語の教材で少し読んだ程度なのだが。

旅行前に愛媛について調べてみたところ、城下町や宿場町などの古い街が意外に多いようだ。内子が有名だが、伊予大洲や卯之町にも古い街並みが残っている。ちょうど松山・宇和島間の予讃線でカバーできるので、立ち寄ってみることにした。たまたま紅葉の時期だったせいもあり、伊予大洲の臥龍山荘が予想外に良かった。

しかし愛媛といえば、一般的には古い街よりも「みかん」だろう。蛇口式みかんジュース販売が有名だったりするが、それだけではなかった。ちょっとオシャレな店に行くと、みかんの品種ごとにジュースを売り分けている。店によっては、かなり種類が多い。

これが全く分からない。

ワインだとブドウの品種などで違いが出るのだろうが、みかんジュースも同じなのだろうか。メニューには品種ごとに味の解説が付いており、甘いだとか酸っぱいだとかは分かるようになっている。しかし、ワインラベルの解説と同じく、いまいちピンと来ない。僕はボンクラなのだろうか。

今まで僕は40年以上にわたり、みかんはみかん、として生きてきた。みかんもミカンも蜜柑も同じである。それが今になって、みかんの種類が違うと言われても困ってしまう。しかも品種によって値段が違うのである。

よくよく考えると、鯛めしも「宇和島方式」と「松山方式」の二種類あるし、愛媛は難しそうな場所である。

みかんジュースをモルトウイスキーだと考えれば、僕にも分かりやすいのかもしれない。モルトウイスキーは、精麦方法、蒸留器の形、蒸留回数、樽の種類、アルコール度数、熟成年数など製造工程の違いにより、異なる味の液体が生み出される。そのような品質の違いが、値段の違いでもある。

それこそが「こだわり」というやつである。語り出すとキリがないが、かなり鬱陶しい。

こだわるのはウイスキーだけにしようと思った。みかんはミカンで蜜柑が丁度いい。

それでも一度だけ、みかんにこだわってみたい。松山空港には、みかんジュース専門店がある。そこで「みきゃん」というキャラクターの付いた高級みかんジュースを買って飲んだ。ボンクラな僕は、飛行機に乗った頃には既に品種名を忘れてしまっていたのだが。

夏目漱石の名作といえば「吾輩は猫である」だが、みきゃんは犬である。愛媛と「吾輩は猫である」は関係ないらしい。

ボンクラな僕には愛媛も文学も難しい。

うわじまのおもいで

下灘駅訪問の翌日、宇和島に向かった。宇和島といえば、宇和島水産高校と鯛めしの街である。調べてみると「ほづみ亭」という老舗の大衆割烹店があるらしい。漁業の街の老舗大衆割烹店は、どう考えても失敗のない飲食店である。ほづみ亭をメインに、宇和島で一泊することにした。

ところで、鯛めしといっても、愛媛には2種類あるらしい。松山あたりの鯛めしは、焼いた鯛をコメと一緒に炊き込んだ鯛めしである。一方、宇和島あたりに行くと、生卵入りのタレに漬けた鯛の刺身を、温かい白飯にかけて食べる。

僕は最近の子供のありがちな、焼き魚が苦手なアラフォー4歳児である。小骨を取るのは面倒くさいし、魚を美しく解体して食べるには不器用すぎる。松山の鯛めしには苦手感しか抱けない。やっぱり宇和島・ほづみ亭だろう。

松山からJRに乗って、昼過ぎに宇和島に到着した。まずは昼食と土産発送依頼を兼ねて、じゃこ天屋さんを廻る。ちょっとした買い食いだが、ここで満腹になっている場合ではない。その後は古い宿場町を見に行ったり、夕暮れの宇和島港を見に行ったりして時間をつぶし、夕食の時間を迎えた。

満を持して、ほづみ亭に向かった。橋のたもとにある、ちょっと古風な居酒屋さんである。店員さんは親切で、お値段も手ごろ。素晴らしい。郷土料理と地酒を中心に色々と頼んだ。ちょっと酔っぱらい、でも満腹になる直前で、ついに鯛めしを注文。

しばらくすると鯛めしが運ばれてきた。漬け汁の中に鯛の刺身が入っている。そこに黄色い生卵。卵をかき混ぜて溶き、タレの中で刺身と絡める。おひつから御飯をよそい、汁を絡ませた刺身をのせて食べる。うまい。夢中で食べる自称4歳児。

よくよく考えてみれば、そりゃ美味しいだろうと思う。

地元でとれた新鮮な鯛の刺身と卵。ダシの効いた醤油ベースのタレ。ふっくら温かいご飯。

ほづみ亭と鯛めしは最強の組み合わせだった。愛媛が誇る失敗のない町、宇和島である。