旅のしおり:九州

旅のしおり:九州

COVID-19の影響によるバス運休が多かったので、細かい時刻は省略。

1日目

羽田 (JAL) >> 大分

大分空港 (空港バス) >> 別府北浜
別府駅西口 (路線バス) >> 由布院

宿泊:旅亭 田乃倉

1日目Tips
・通常であれば、大分空港~由布院は直通バスが運行されている。
・別府から愛媛県の八幡浜までフェリーが運航されているみたい。八幡浜からは鯛めしの町・宇和島に出られるので、九州北東部と宇和島を組み合わせる旅も面白いかも。

2日目

由布院 (九州横断バス) >> 黒川温泉

宿泊:のし湯

2日目Tips
・由布院から久大本線に乗ると阿蘇方面に行けると信じていたのだが、阿蘇は豊肥本線とのこと。九州横断バスなら由布院〜黒川温泉〜熊本を乗り換えなしで抜けられる。
・黒川温泉の真ん中あたり、神社の隣にあるケーキ屋さんが美味しい。店の外にベンチがあり、そこに座って温泉街を眺めながらケーキ食べていると、かなり幸せになれる。

3日目

黒川温泉 (高速バス) >> 福岡空港

福岡 (JAL) >> 羽田

3日目Tips
・黒川温泉から福岡・天神ゆきの高速バスは、途中で福岡空港に止まる。ただし国際線ターミナル到着なので、国内線ターミナルへは更にバス移動。ちょっと面倒くさい。

由布院の記憶

関東から黒川温泉への旅は、福岡空港、熊本空港、もしくは大分空港がゲートウェイとなるだろう。おんせん県の大分空港を経由して、別府か由布院で一泊することにした。別府は都会すぎるだろうと思い、由布院に決めた。

由布院は「九州の軽井沢」と旅行サイトに書いてあったが、複数の知人の評価は「九州の清里」とのこと。旅行サイトの「軽井沢」は新幹線開業で開発が進んだ近年の軽井沢駅前、知人の「清里」は一昔前の清里 (いまは寂れてしまったらしい) だろうから、たぶん「軽井沢」も「清里」もイメージとしては大差ないだろう。僕には苦手感が漂う。

たしかに由布院の観光エリアは、そんなニュアンスが漂っていた。一昨年だったら似たような評価になってしまうのだろうが、今年は静かに過ごせた。地元経済には悪影響しかないとは思うが。スヌーピー茶屋も休業してしまった。

そんな清里・軽井沢ふうな通りから少し奥に入ると、古びた日本旅館が連なる一角があった。なかなか風情があって良い。

混んでいる温泉は苦手なので、基本的に温泉地の共同浴場には足が向かない。今回は街に人出がなかったので、夕食後に小銭を握りしめて出かけてみた。観光客でも入れる、金鱗湖の脇にある藁葺き屋根の共同浴場である。脱衣所なしの混浴には多少の抵抗感があるが、誰も来ないので問題ナッシング。しかし僕には湯温が低すぎた。

由布院エリアで最も良さそうだったのが、別府方面から由布院市街に入る手前の高原である。由布岳の麓になるのだろう。路線バスが頻発している区間なので、晴れていたら途中下車して散策したかった。

じゃるのおもいで

写真がきれいなので、ちょっと番外編。

2021年5月下旬 JAL324 福岡 17:35 >> 羽田 19:20

黒川温泉に滞在した後、福岡からはJALで羽田に戻った。

10年以上前に福岡へ出張に行ったとき、初めてゴマサバを御馳走になった。ゴマサバは関東だと魚の名前だが、福岡に行くと料理の名前になる。名前の通り、生サバをゴマダレに漬けたものである。これを肴にチビチビやると幸せだ。

福岡の夜は深夜のラーメンまでの長丁場になりがちであり、なんだが落ち着かない。ゆえに空港の寿司屋で、ゴマサバ、地魚の握りセット、ビールというのが、福岡の正しい終わり方だと思っている。早めに空港に到着し、軽く寿司屋で飲んだ後、飛行機で昼寝すると羽田に着いている。

残念ながら今回はアルコール提供休止期間だったので、空港の寿司屋はパス。売店で冷凍ゴマサバを買って、早い時間の飛行機で帰ってきた。

この日は天気が良さそうだったので、富士山が見える側の窓側席をゲット。

絶妙な時間に絶妙な航路を飛行して、富士山周辺で思わぬ大絶景に遭遇。同じ飛行機から、綺麗な富士山と、綺麗な日没を見たことはあるが、両方まとめては始めて。

こういう景色に遭遇すると、たまには飛行機内で寝ないでいるのも良いと思った。

くろかわおんせんのおもいで

台東区と横浜市の二重生活をギブアップし、完全に横浜市へ転居することになった。おかんが頑張ったという他力本願の極みでしかないのだが、引っ越しの荷ほどきは意外にも早く片付き、あけておいた週末が余ってしまった。

せっかくなので、どこかに行こうと思って調べはじめた。たいして引っ越し仕事をしていないにも関わらず、体がなまっている僕は筋肉痛である。物を運ぶ時に踏んばったせいか、足が痛い。

疲労気味の時は温泉で休養するのが良いだろう。COVID-19時代なので、出発直前でもマイルを使った特典航空券は選び放題だった。前から気になっていた、九州の黒川温泉を目指すことにした。

体が硬すぎる僕に和室は厳しい。黒川温泉には少ないながらも洋室があるのだが、そのような宿は街はずれに多いようだ。山あいの古い温泉旅館となると、洋室への改造が難しいのだろう。

黒川温泉は風情ある温泉街が良いのだから、街を歩いて回れる宿に泊まらないと楽しめないのではないか。かなり探して温泉街の中にある宿の和洋室に空室を見つけた。

ここまでは良かったのだが、九州に着いてからの移動が難しい。通常であれば九州各地から長距離バスが何本も出ているのだが、さすがに今年は運休が多い。大分方面からは黒川温泉到着が10時半過ぎのバスしかなく、翌日、福岡に向かうバスは14時発車だった。結果的に現地滞在時間27時間ほどである。

幸いにも雨降りは回避できたので、温泉街をブラブラして時間を潰すことにした。宿に荷物を預け、まずはチェックインまで4時間程ある。

黒川温泉は素朴さが売りである。温泉街が広いわけでも、有名な見どころがあるわけでもない。こんな時代なので休業している店もあるし、僕は土産物屋の類が苦手である。さらに喫茶店で時間を潰すという行為も苦手だ。

入湯手形を買って、色々な旅館の温泉に入るのが黒川の楽しみなのだろう。しかし自分が泊まる宿だけで20時間くらい滞在するので、何度も温泉に入る機会がありそうだ。別料金を払ってまで他の宿の温泉に入りに行くべきかという疑問が生じ、手形を買うのは止めてしまった。

早々に時間を持て余し始めた。こうなると歩き回るしかない。実際、僕は旅に出ると異様に歩く。温泉街から外れ、あてもなく田舎道を歩き始めた。

集落の外れまで行くと「奥の院」という場所があった。そこまでは田畑の広がる田舎の風景で、奥の院の入口には駐車場まであったりするが、急に深い谷になる。清流に沿って小径があるのだが、木彫りの仏像があったり、お地蔵さまがいたりと、ちょっと変わった光景である。谷を上っていくと、不動明王が祀られていた。

お寺のような宗教施設があるわけではないし、霊感とかいうものは僕にはないと思っている。それでも情念の積み重ねのようなものを感じた。ちょっと怖いような、神秘的な一角である。

いわゆる満足感というのとは違うが、なんとなく満ち足りた気分になって、15時前に旅館へ戻ってチェックイン。早めに露天風呂に入って、夕方まで昼寝である。夕食後は温泉街の散歩に出た後、再び温泉。

翌朝は快晴だった。朝食と朝風呂の後、11時前にチェックアウト。福岡ゆきのバス停に送ってもらうまで、3時間ほど時間を潰す必要がある。

昨日と同じジレンマに陥ることは分かっていたので、ハイキングに行くことにした。地図を見ると展望台があるようなので、いまいち距離も分からないまま歩きはじめる。1時間半ほど歩くと、森を抜けた所に展望台があった。雄大な阿蘇の山々が望める。

黒川温泉と言うと、他の宿の温泉を利用できて、川をライトアップしている人気温泉街くらいのイメージしかなかった。行ってみると、なんとも奥が深い街である。

iPhoneのデータによると、黒川温泉初日は8.7キロ、翌日は10.4キロも歩いていた。

疲労気味なので温泉へ休養に行ったのだが、しっかり運動して帰った。横浜に戻ると、相変わらず足は筋肉痛である。しかも入浴しすぎたのか、湯あたりのようで全身だるかった。