昨年は人出の少ない超有名観光地を訪問したが、流氷を見に行く事は挫折した。そもそも思いついたのが遅かったせいもあるのだが、どこに行けば良いのかも分かっていなかった。
ちょっと調べてみたところ、流氷が見られるのは、紋別、網走、知床らしい。有名なのは紋別「ガリンコ号」と網走「オーロラ号」。どちらも砕氷船だが、ガリンコ号は船首にドリルがついていたりと、船の構造が違うらしい。
あれこれ考えているうち、昨冬は機会を逃してしまった。その後、夏まえに釧路を再訪したり、初秋に知床へ行ってみたりと、道東の地理や交通は何となく分かるようになった。
今年の冬は寒くて雪が多かった。たぶん流氷の元になるアムール川流域も寒いのではないだろうか。今年こそは流氷を見に行こう。
旅程としては、釧路からSLで標茶、そこからバスで川湯温泉。翌日はバスで川湯温泉から網走に向かう。網走で砕氷船に乗った後、さらにバスで紋別へ行って夕方の砕氷船に乗船。最終日も紋別で砕氷船に乗った後、羽田への直行便で帰京する計画である。スケジュール的にはキレイにハマり、ほぼ完璧な計画である。航空券を取り、SLと流氷船の予約を入れた。
しかし、あとは行くだけとならないのが、今回の旅である。
まずSLが故障してしまった。同時刻でディーゼル牽引の列車が運行されるらしく、予定に影響はない。そして紋別の砕氷船「ガリンコ号」の新造船も故障してしまい、古い船のみでの運航となるらしい。こちらも予約振替があって、予定への影響は軽微。
SLには追加料金的なものがあるようで、ディーゼル機関車だと指定券の差額返金。砕氷船の方は新造船に追加料金があるらしく、こちらも乗船券の差額返金。こういう場合は料金が安ければ良いということはなく、むしろ安い方が悪いのではないか。
昨年の知床訪問時に天気は悩むだけ無駄と悟ったはずではあるが、最大の難関は天気だった。出発の前週から何度も週間予報を見ていたが、どうも旅行3日目の天気が悪いようだ。
悶々と悩んだ末、出発の前々日になって日程変更することにした。紋別へ先に行き、網走経由で川湯温泉へ。飛行機と砕氷船、それにホテルには空きがあり、まずは予約を変更。
しかし冬の道東は難易度が高かった。
北海道ではレンタカーを借りる僕とはいえ、それは夏の話である。東京の雪道で歩行中に転びかけるようなオッサンに、北海道の雪道で自動車を運転する資格はないものと思われる。ゆえに冬は公共交通機関を頼るしかないが、紋別に先行する逆ルートでは、バスも釧網本線も接続が悪い。
川湯温泉からは釧路を経由し、午後のフライトで帰ろうと思ったが、移動時間より待ち時間の方が長くなる。網走に戻って、網走空港からのフライトで戻るにしても、冬の網走駅で3時間待ち2回は気が遠くなりそうだ。結局、川湯温泉は挫折。1泊で流氷だけを見に行くことにした。
当日、羽田からのANAで紋別に着くと曇っている。ちょっと暗い気持ちになってしまった。もはや天気は悩むだけ無駄なのだが。それでも砕氷船に乗る頃には多少の青空が見え始めた。日没の時間帯には夕焼けらしきものも発生。
ここに至って悩む意味はないが、だからと言って鷹揚にもなれないまま、紋別の街へ夕食に出た。部屋に戻って外を見ると、空には月が出ていた。明日は期待できるのだろうか。
翌朝は4時半に起き、砕氷船へ。空を見上げると快晴である。なんとも素晴らしい日の出を楽しむことができた。
最初の完璧な計画からは随分と変わったが、悩んだかいがあった。写真撮影という目的がある以上、やっぱり天気について鷹揚になるのは難しい。これからもグジグジと悩みながら旅をするしかないのだろう。