2013/01/06 ふたたびさんせばすちゃんのおもいで

ついつい夏にホテルとレストランの予約をしたので、あまり計画性のないまま再びサンセバスチャンに行ってきた。年末年始、のんびりとバルを巡ろうと思っていたのだ。

サンセバスチャンに着いて街に繰り出すと、なにやら騒がしい。どうも地元でリーガエスパニョーラの試合があったらしく、異様な盛り上がりだった。昼間から町中で爆竹と花火が飛び交っている。旧市街に爆発音が響き渡り、スモークが立ちこめる。人出も多い。初日からバスク人パワーに圧倒され、早々にホテルに戻る。

二日目は三つ星レストランで平穏無事に過ごしたものの、三日目の12月31日は再び異様な盛り上がりになった。夕方から散発的に花火が上がり、またも旧市街は人であふれていた。休みのバルも多いようで、開いている店は立錐の余地もない。再びバスク人パワーに圧倒され、早々にホテルに戻る。しみじみと部屋でカップ麺の年越し蕎麦を食べた。

結局、落ち着いてバルをまわれたのは1月2日になってからだった。しかし1月3日には帰らなくてはならない。唯一の計画も危ういところだった。

2012/11/24 としおとこ

先日、知り合いのオッサンと香港に行った。このオッサンとは、年に一度、海外に行っている。今年はスペインを目指したものの、日程的に折り合わず。この三連休に一日足すとシベリアに行けることが分かったが、冬のシベリアは文字通り寒そうなので却下。妥当なところで香港になった。

別に買いたいものがあるわけでもなく、僕は飲茶とスターフェリーとトラムがあればいい。しかし、このオッサンは四川料理が食べたいといった。それもいいだろう。

香港人は辛いものを避けるという。それでもマンションの一室で営業している四川料理店を探して行ってきた。香港にしては珍しく、本場の四川料理が食べられるとのことである。

初めて食べた本場の四川は異様に辛かった。が、確かに旨い。青島ビールを水がわりに飲みつつ、汗をかきながら食べた。北京語も広東語もできないが、コックのオッサンとウェイターの兄ちゃんに感動を伝えつつ、店を去った。こういう時代だからこそ日中の相互理解に貢献したい。

が、感動は儚い。現実が目の前に迫る。

その晩はゲップをする度に激辛な胃液が食道を上がった。辛み成分と酸で食道へのダメージは甚大なものがある。そして翌朝はピーである。それも尋常なレベルではない。もはや赤い液体である。昨夜の過剰な刺激に腸が耐えられなかったようだ。

それだけではない。ピーピーしつつ、出口付近にも甚大なダメージを受けた。これも辛み成分のためだろう。あまりのダメージのため、数日は歩行困難な程だった。

ところで、一昨日、僕は36になった。去年の誕生日は花が咲いたが、今年はおしりが痛かった。人生は厳しい。

2012/09/02 さんせばすちゃんのおもいで

サンセバスチャンの大半はバルで過ごしたものの、最終日にミシュラン三ツ星レストランに行ってきた。サンセバスチャン付近には三つ星レストランが3軒もあるが、海を見下ろす高台にある店に行った。繊細系で好きなタイプだった。いくらバルのピンチョスが旨いとはいえ、バルで繊細系は難しい。

http://www.akelarre.net/

旅行先を気に入ってしまい、その場で来シーズンの予約をして帰ってきた話をたまに聞くが、僕はそういうタイプじゃないと思っていた。ところが今回はやってしまった。レストランに行く前にホテルで年末年始の予約を入れ、レストランも気に入ったので帰りがけに予約を入れてしまった。

もちろん伏線はあって、これは5月くらいから気になっているのだが、こんどの年末年始の曜日配列は最高である。冬のバスクはどうなんだろうか。年末にスペインでユーロは使えるのか。ぼくは休みを取れるのか?

それはさておき、レストランを絶賛した後で書くのも妙ではあるのだが、バスクでの最高の出会いはバルで出てきたトマトのカツオ包みだった。湯引きしたトマトの中にシーチキンが入っている。少量のソース、少量のマヨネーズ、塩、コショウなど。シンプルだが、絶妙なバランスである。

どうしても最後に食べたいと思い、レストランで膨れた腹を抱え、深夜の旧市街へ最後の見廻りに行った。街を二周したところ、ようやく店内に進入スペースを見つけ、「トマテ・ボニートが食べたいんだけど」というと、キッチン内で一騒動の後に出てきた。直後に看板のメニューが消されたので、最後の一つだったのだ。

あぶないところだった。