承前。ほぼ思い付きで行った函館で吹雪に遭遇、ほとんど写真撮影せずに旅が終わった。その前に行った後生掛温泉も写真的にイマイチな天候であり、北国の冬が好きな僕としては欲求不満が募った。
このまま春を迎えて良いのだろうか。日程ありきの旅も、思い付きの旅も、結果的に欲求不満だった。こうなったら天候ありきの旅をするしかない。会社が超多忙な日々は1月で区切りが付いていた。出たところ勝負で日程を決められる。
函館から戻った翌日から、毎日のようにカレンダーと週間予報を見比べていた。ついに2月中旬の日~月に晴天の予報があった。今回も三沢までの特典航空券に空席があったので、前回挫折した奥入瀬渓流に行ってみることにした。
ルートは概ね検討済だったのだが、現地ツアーに参加するため、送迎バスより早く奥入瀬へ着きたいと思った。地元のバス時刻表を眺めた結果、三沢空港から路線バス3路線を乗り継ぐことで、奥入瀬渓流まで自力で行けることが分かった。三沢空港~三沢駅前~十和田中央~焼山というルートである。全ての路線が同じ会社の運行ながら、バスを乗り継ぐことを考慮していないと思われるスケジュールとオペレーションだったが、なんとか奥入瀬に到着した。
予報通りに天気は良かったが、実際のところ考慮すべき問題は他にもあった。今年は異様な暖冬だったのである。2月中旬にしては気温が高く、氷柱は終わっていたし、積雪も少なかった。平年だと3月中旬相当の気候らしい。それなりに写真は美しく撮れたが、雪が少ないのでイマイチ迫力がない。
結局、下手の考え休むに似たり、だったのかもしれない。暖冬だった今年の冬は、どうあがいても不完全燃焼にならざるを得なかった。と思う。
こういう時こそ、旅人としての本質が問われるのではないだろうか。撮影は旅の主目的の一つではあるが、それだけではないだろう。
知らない土地へ行き、馴染みのないものを食べ、酒を飲む。僕の場合、異文化交流とか触れ合いとかは苦手なのだが、それでも日常でない何かは体験できる。
究極のところ、旅とは何かを考える機会なのだろう。バス会社のスケジュールへの不満のような表層ではなく、もう少し埋もれたところにある何か。未知の体験を通じて思考し、旅を通じて、感情の奥にある埋もれた自分自身の本質に辿り着きたい。
写真撮影が1カットで終わった吹雪の函館旅行であっても、欲求不満に陥るのは僕自身の未熟さ故なのかもしれない。不満を乗り越え、何かを考え、何かに辿り着くべきだったのだ。人間とは考える葦なのだから。
それこそ、下手の考え休むに似たり、なのかもしれないが。
旅のしおり:奥入瀬渓流
記載の時刻等は訪問時のダイヤです。
1日目
羽田 0735 (JAL153) >> 三沢 0855
三沢空港 0910 (バス) >> 三沢駅 0926
三沢駅 1045 (バス) >> 十和田中央 1114
十和田中央 1124 (バス) >> 焼山 1215
・奥入瀬渓流ツアー
・奥入瀬ライトアップツアー
宿泊:奥入瀬渓流ホテル
1日目Tips
・三沢空港から三沢駅へのバスは微妙に延着、ダイヤ上0927発の十和田行きバスが目の前で発車していった。たぶん信号1回相当の遅延だろう。
・十和田中央バス停の近隣に「十和田市まちなか交通広場」が整備されているが、三沢から十和田へ行くバスは乗り入れず、別の名前のバス停に停まる。十和田から三沢へ行く逆行程のバスは乗り入れるらしいが。
・三沢から十和田へ行くバスは7分遅れ、接続を待たないことは想像に難くなかったので少々あせる。実質3分接続だったので、あと信号1回ぶん遅れたら間に合わなかったのではないだろうか。そういう時に限って、乗り継ぎ先のバスは通りの反対側の停留所である。これで乗り遅れていたら、交通広場の不条理について書いていたところだった。
2日目
・奥入瀬渓流ツアー
奥入瀬渓流ホテル 1030 (送迎バス) >> 青森駅 1230
青森駅 1325 (バス) >> 青森空港 1400
青森 1500 (JAL146) >> 羽田 1625
2日目Tips
・青森駅前に着いて違和感を感じた。よくよく考えると、初めて雪のない青森に来たのだ。屋外で時間を潰せる。快晴の青森港を眺めながら、アップルパイを食べた。
・日曜夜に羽田へ到着した時の殺伐とした感じが苦手なのだが、平日昼間の到着便は精神的に平和である。