2013/05/30 あまるふぃかいがんのおもいで

アマルフィでシャツを買った。小粋な爺さんの洋品屋だ。帰りがけに店のロゴの入ったバンパーステッカーをくれた。

「おまえはフェラーリ持ってるか?」
「いや。持ってない」
「残念だが、これはフェラーリにしか貼れないんだ」
「トヨタじゃダメなの?」
「フェラーリのバンパーだけだ。がんばれよ」

バンパーがフェラーリ製のトヨタ車が売り出されるほうが早いか、マヌケな銀行屋が僕に金を貸すほうが早いか。さっき5ユーロ拾わせてくれた、この街の守護聖人の聖アンドレアに任せよう。

2013/05/30 あまるふぃのおもいで

三月に会社のプロジェクトが終わり、代休をまとめて取った。無料航空券でパリに行き、ジャンコクトーの真似事をしてニース近郊の漁村のホテルに泊まった。

帰ってくると、自宅に母親がいた。
そして僕は手ぶらだった。

長い話になった。
1. 息子は旅行ばかりしている。
2. 今回はフランスに行った。
3. しかも5月にミラノに行く用事まである。
4. 自分は家にいた。
5. 息子はフランスから手ぶらで帰ってきた。
6. 今日は自分の誕生日である。
7. なのに手ぶらだ。
8. 誕生日に免許の更新に行った。
9. もう70なので、年齢的に次回の更新はしないかもしれない。
10. 体力がないと旅行ができない。
そして、最後に「アマルフィに行きたい」と言われた。

2013/03/10 れもんまつりのおもいで

航空券を手配した後でニュースを見ていると、旅行期間中にマントンでレモン祭りが開催されると出ていた。マントンは、ジャン・コクトーが市役所の結婚の間に壁画を描いたことで有名な、イタリア国境の街である。ニースから電車で40分くらい。

一生かかっても見ないであろう量のレモンを、わずか数時間のうちに見た。人は一生に何個レモンを見るのだろうか。多くても少なくても大した違いはなさそうだ。でも、あの黄色い小物体を見れば見るほど、幸せになるかもしれない。

そんなことを考えながら、レモンチェロを買って帰ってきた。暖かくなったら、日曜の午後に一杯飲もうと思った。

今日は初夏のように暖かかった。ベランダでレモンチェロでもやるかと思ったが、あまりにも花粉がひどかったので止めた。なかなか理想通りには行かない。