シンガポールからAir Asiaに乗って1時間半、ペナンに着いた。空港の税関の横に銀行の両替カウンターがあるが、こういうところは概してレートが悪いのでリンギット両替はパス。国際金融の時代、経済実態に即した現実的な選択といえる。
白タクのオッサンやら自称ポーターの大群を覚悟して到着ロビーに出ると、なにやら閑散としている。そして誰も声をかけてこない。悪徳タクシーやらボッタクリ客引きがいない。ここは南国じゃないのか?
ふと左を見るとタクシーの前払いカウンターがある。White Taxiと書いてあるが、そういう意味の白タクじゃない。
でもリンギットない。やや違法でもいいから、ボラれてもいいから、シンガポールドルでタクシー乗りたい。通貨の壁を打破してほしい。国際経済のグレーな部分に入り込みたい。
出発階に行ってATMを探しだし、なんとかリンギットを入手。Citibankは世界中のATMで現金引き出しできるのだ。ボーダレス化する世界の金融。といっても、いまいちリンギットを分かっていないので、ほぼ思考停止状態で600リンギットおろす。深い理由も浅い理由もなく、エイヤッと600というボタンを押したのだ。多分にまんえん的な。
思えばオロカなことだった。金融関係者のいうCPIベースの貨幣価値を知らなかったのだ。過剰なリンギット投資。旅行期間中は公共交通機関を使う慎ましい生活をしているので、なかなかリンギットが減らない。
しかも、リンギット使うぞと思って錫のマグカップを買いに行くも、現金は落とすのが不安で、大半はホテルにおいてきたのだった。結局、錫マグカップはクレジットカードで支払いを済ませた。金は使うがリンギットは減らないという、デフレスパイラルの様相を呈し始める。
リンギットを使い果たせないままマレーシア終了。日本円に換金することを自分自身に許さず、帰りに寄ったシンガポールでシンガポールドルに換えた。行きにもシンガポールで5時間の乗り継ぎ時間にマーライオンを見に行ったため、既に潤沢にシンガポールドルはある。そこに更にシンガポールドルの手元資金が増えた。金融関係者のいうハードランディングである。
金融政策の難しさが分かった。