旅のしおり:台湾

記載の時刻等は訪問時のダイヤです。

1日目

東京羽田 0920 (ANA 851) >> 台北松山 1230

松山空港 1300頃 (UBER) >> 九份 1345頃

宿泊:陽光味宿 (Sunny Room)

お茶:海悦楼茶房

1日目Tips
・複数人だったので、松山空港から九份までUBERで直行。メインルートの反対側から山を登ったようで、渋滞を回避できた模様。
・週末を外したにも関わらず、噂通り九份は大混雑だった。20時以降は相対的に空いていたが、それでも人は多いし、あまり遅すぎると街は暗くなってしまう。宿泊したとしても短時間勝負になる、なかなか難しい観光地である。

2日目

九份 1030頃 (Taxi) >> 瑞芳駅 1040頃
瑞芳 1050頃 (台湾国鉄) >> 南港 1130頃
南港 1210 (台湾高速鉄道1637) >> 高鐵台南 1406
沙崙 (台湾国鉄) >> 台南

安平樹屋

夕食:尊。私房手作料理

神農街

宿泊:U.I.J. Hotel & Hostel

2日目Tips
・瑞芳からは始発電車に乗ろうと思っていたが、運休していた。駅の電光掲示板を見ると、繁体字なので電車の行先は分かる。ただし東海道線の東京駅や大阪駅と同じく、台北駅は途中駅になってしまうので、地理的には全く想像が付かず。とりあえず地図からの推定で南下 (South Bound) の列車に乗りそうになるが、念の為に聞いてみると、北上 (North Bound) の列車に乗れと言われる。ややこしい。
・台湾高速鉄道の台南は、台湾国鉄だと沙崙である。運営主体が違うのだが、せめて鉄道駅は同じ名前にして欲しい。かなり安易に「新台南」とか。
・この日のレストランは絶賛したいほどだったが、ホテルも良かった。

3日目

水仙宮市場
・永楽市場

台南孔子廟
赤崁楼
大天后宮

昼食:山根寿司

林百貨店

夕食:鬍鬚忠牛肉湯

バー:威夢旅人 x WhiSky PicNic

3日目Tips
・台南で秘かに気になっていたのが「山根寿司」である。台湾人の間でも評価が分かれるらしい、ローカルに根差した老舗の寿司屋さん。東南アジアにありがちな、アーケード下の路上にテーブルがあるような店舗である。街歩き中に発見したので入ってみた。路上である店内に無論クーラーはないが、しっかりネタは冷蔵されているようだったので、ビビりながら寿司を注文。未知なる日本風ローカルフードだと思えば悪くない。
・牛肉麺は台湾全土にあるが、台南名物なのは牛肉湯である。うまいスープで、牛肉と米を食べる。到着した時の行列の長さに絶望しかけたが、半分は隣の店の行列だった。意外と回転も早い。
・僕が毎週のように行っているバーの台湾人常連客からの紹介で、威夢旅人 x WhiSky PicNicというウィスキーバーへ。樽を買い付けて自社瓶詰もしているようで、なかなか面白い。一定額以上でないとカードが使えない制度になっており、現金の持ち合わせがなかったので少々焦るが、酒を飲めば簡単に問題が解決することに気付いた。

4日目

・安平樹屋
安平古堡
安平開台天后宮

安平豆花

高鐵台南 1213 (台湾高速鉄道636) >> 台北 1359
台北駅 (地下鉄) >> 台北松山空港

台北松山 1650 (ANA 854) >> 東京羽田 2040

4日目Tips
・最終日は安平地区をまわった。この日は曇りがちになってしまい、天気の良かった初日に安平樹屋だけ行っておいて正解だった。
・時間節約のため、ホテルからUBERで高鐵台南駅へ。横浜〜新横浜の倍以上あって、かなり遠い。ダイヤによっては、台南から台湾国鉄で高雄方面へ向かって、高鐵左営から速達便 (高鐵台南には止まらない) で台北に向かうのも有りかも。
・台湾の鉄道会社は駅弁を自社生産しているが、高鐵台南駅では、台湾高速鉄道の弁当が新幹線駅の改札外ロビーで売られており、新幹線駅の改札内では台湾国鉄の弁当を売っている。普通は逆な気がするが、利権をめぐる暗闘があったのだろうか。
・台北駅で台湾国鉄グッズを購入。UBERを使いまくったことを反省し、地下鉄で空港まで行った。かなり王道ルートだが、微妙にエスカレーターがない場所に出くわすのは、どこでも同じ。

たいなんのおもいで

台湾旅行は母親がメインだったので、移動の労力が少なく、無難な行程にしようと考えた。それでも一捻り加えたく、九份の近くにある基隆という港町で1泊、もう1泊は台北で過ごそうと思っていた。これなら移動は台湾北部で完結するし、台北以外の街も見ることができる。

結果的に意味があったかは分からないものの、混雑回避のため、九份の宿泊を平日にする条件となり、台湾に到着する金曜日に九份へ行く事になった。九份から基隆までは路線バス1本で移動できるため、翌日の土曜が基隆泊。すると結果的に台北宿泊は3泊目である日曜の夜になる。

しかし一通りの手配を済ませた後で調べたところ、台北の公設市場は月曜日が定休らしい。いくらルート自体が合理的でも、市場好きとしては最終日が味気ない旅になってしまう気がした。しかも前回の訪問時に感動したプライベートキッチンは、最近になって閉店していた。このまま最終日に台北へ行くべきなのだろうか。

迷走が始まった。

毎日のように旅行ガイドやYouTubeを見てウジウジと悩んだ。チョイスは多くあるが、移動ばかりだと当初の目的とは反するし、日程的にも詰め込み過ぎになる。色々と考えた結果、台南という街が良さそうだとの結論に達した。文字通り台湾南部にある、古い街並みが残る都市だそうである。台北の宿泊は見送り、ついでに基隆訪問も見送り、台南で2泊することにした。ようやく決め切れた時には出発2週間前を切っており、ホテル探しに苦労した。

小雨が舞って肌寒い九份から台北に戻り、台北からは台湾高速鉄道、いわゆる台湾新幹線での移動となる。たしかに距離は遠いが、移動時間としては2時間ほどで済むし、座席は指定席だ。台南に着くと、汗ばむくらいの気候である。天気は快晴。別世界のようだった。

台南では安平樹屋という古い倉庫跡に行ってみたかったので、まずはカメラを持って向かう。夕方の美しい斜光と絡めて撮影できた。あのまま基隆へ行っていたら曇天から抜け出せなかっただろうから、結果的には大正解である。

その日の夕食は、中国語ができる友人にリストアップしてもらった中から選んだプライベートキッチンへ。FacebookとLINEを併用して予約を入れたものの、デポジットの振込を求められるなど、中華圏のプライベートキッチンならではのハードルの高さがあった。洋食も扱う広東料理系の店だと思って行ったのだが、想像を超えた繊細な味付けの店だった。予約のハードルを乗り越える価値があるというか、この店だけでも台南に来て良かったと思えた。

本格的な観光は翌日から。まず早朝に市場へ行くところからスタートした。市場で軽食を購入してホテルに戻り、一休みしてから市内の観光スポットをウロウロした。微妙に街が大きく、行きたい場所を半分くらいカットしたが、それでも約14キロも歩くことになった。

元々の台湾文化に、オランダや日本の統治時代の影響が加わって、台南は極めて興味深く、非常に楽しめた。行きそびれた場所もあるし、風情ある路地裏も多そうだ。再訪してみたい街である。

今回の旅ではUBERを活用したし、休憩時間も取るようにしたが、4日間の台湾旅行で歩いた距離は約40キロだった。飛行機や鉄道の移動は意図的に調整できたものの、観光目的の旅行としては、たぶん歩き過ぎということになる。

移動労力の削減を目指したが、僕がプランニングする以上、旅のスタイルは変えられないようだ。しょせんワガママなオッサンである。ちなみに母親は今年80歳に達しており、同じ鍼灸院に行っているが、鍼灸師いわく僕よりも健康らしい。

余計なことを考えず、自分自身を何とかしろということなのだろう。

きゅうふんのおもいで

昨年12月にインフルエンザのような風邪で寝込んでいたところ、救援物資を持って母親が来てくれた。その際に話したところ、台湾の九份に行きたいとのことである。

台湾の気候を調べたところ、概ね4月以降は半年ほど雨季になるようだ。僕は旅行をシリアスに捉えており、迅速に行動することにしている。来シーズンまで待たずに行ってしまう事にした。カレンダーを眺めると今年2月は3連休が2回あったが、そのうち1回は旧正月と絡むのでパス。さすがに母親を連れて弾丸旅行も無理があると思い、有給を1日取って4日間の日程とした。

僕は今回で2回目の台湾訪問だが、以前から九份は異様に混むと聞いていた。金曜午後から週末2.5日の予定だった前回は、敢えて九份と故宮博物院には行かなかった。週末を避けるべく、今回は平日に九份で1泊することにした。

旅行初日は正午頃に台北の松山空港に着いた。この空港は台北市内にあるので、そのままUBERで九份まで行ってしまう事にした。台北を出発した時は曇天だったが、徐々に小雨が舞い始めた。九份に着いた頃には、完全な雨になっていた。

宿泊するB&Bは公共駐車場の奥にあるのだが、その駐車場は既に観光バスで溢れかえっていた。宿の前まで車で行くのは諦め、雨の中を徒歩で向かう。どうにも良くない気がする。こういう時に限って傘はスーツケースの中なのだが、問題の本質はそこではない。

荷物を置いて街へ出ると、やはり混んでいた。観光客を見に来たような混雑である。その時点で14時過ぎなのだが、夜景が有名な街なので、夕方になるにつれて更に人が増えるのだろう。しかも狭い路地で傘をさしているので、極めて歩きにくい。どうにも良くない。見晴らしの良い喫茶店があったので、逃げ込んで様子を見ることにした。

しばらく喫茶店で時間を潰しても雨は上がらず、眼下の道路はバスで渋滞している。どうにも良くなる兆しは見られず、諦めて宿に戻ることにした。

九份から台北に戻る路線バスがなくなる20時頃を過ぎると人出が急に減ると聞いていたので、19時になって再び街に出た。雨は止まず、まだ混雑している。14時頃と比べて、多少マシという程度だろうか。九份は急坂の街であり、坂の下にある宿に戻るのも面倒くさいし、体力も使う。別の喫茶店に入って再度の時間つぶし。どうにも良くない。

20時になって喫茶店を出ると、ついに人出が減っていた。雨は止まないが、ようやく観光名所である茶屋の前まで到達できた。この有名茶屋の前に、別の茶屋があってビューポイントと聞いており、撮影がてら入ってみた。槍ヶ岳に登ると槍ヶ岳が見えないのだから、借景にこそ意味がある。

日本では喫茶店に入ることは滅多にないが、台湾に着いて半日で3回目だ。水分摂取量が半端ない割に、アルコール類はビールすら口にしていない。どうにも良くない。

この日は喫茶店と買い食いばかりで、食事らしい食事はANAの機内食だけである。空腹を覚えたが、既に茶店の食事タイムは終わっていた。どうにも良くない日である。

夜景を眺めながらお茶を飲んでいたら、どうやら母親が店の老板に気に入られたらしい。しばらく日本語で色々と話した挙句、弁当をもらった。どこかの団体旅行の残りなのだろうが、なかなか美味しい。取り分ける食器まで貸してくれるサービスぶりだった。ありがたい。最後に耐えきれなくなって「老板、ビールください」と言ってしまった。日本語が通じるのは素晴らしい。

雨は翌朝まで降り続け、出発前には霧雨程度になったが、いずれにしても曇天である。それでも午前中は人出が少ないので、宿から15分ほど坂を駆け上がり、例の茶屋の前まで行って撮影。

この日に限らず九份は雨が多いらしいし、あまりにも観光地化しすぎていて写真も撮りにくい。どこで写真を撮っても、どこかで見た写真にしかならない。撮影ポイントを探すにしても、人間が多すぎて気力が萎える。写真メインの観光地としては、どうにも良くない場所である。

結局、九份の良かった思い出は弁当だけという、なんとも複雑な場所だった。どうにも良くない場所が、どうでも良い場所にならずに済んだのは、あの老板のおかげである。真是謝謝你。