きかんこのおもいで

一年ほど前、ネットをしていると台湾の鉄道の記事を見かけた。ターンテーブルのある機関庫が台湾中部で今でも使用されていて、見学できるとのことである。

キューバで古い電車を見に行ったし、台湾で古い機関庫を見に行くのも悪くないかなぁ。そんな話を友達オッサンとしていると、今年はオッサン旅行の行先が決まっていないことでもあるし、ならば台湾へ機関庫を見に行こうではないかとの話になった。

木曜日の午後から会社を抜け出し、羽田から飛行機に乗って台北へ。ホテルに荷物を置いたら急激に夜市の屋台へ行き、それでも迅速にコンビニでビールを買って帰ると、しかし急速に深夜になっていた。楽しい時が経つのは早い。

翌朝、普通なら先ずは故宮に行くべきなのに、オッサン達は寝ぼけたまま台北から新幹線で台中へ行き、在来線に乗り換えて機関庫のある彰化という街まで行く。台北から台中まで50分ほど。台中で乗り過ごすと高雄まで止まらない列車に乗ってしまったので、寝ぼけている場合ではない。新幹線の中でワゴン販売のコーヒーを購入したところ、舌を火傷し、そしてこぼした。旅に出たからといって、慣れないことをするのは良くない。

彰化に着くと、街をブラブラして食堂に入り、それから機関庫に行った。青空のもと、台湾国鉄オッサン達が何やら修理をしていたりと、ごく普通に使われている機関庫である。なんかいいなぁ。故宮で白菜を見ているよりも素晴らしい。と思う。

その後、彰化からバスで鹿港という街へ出かけた。台湾の古い町並みといえば九份が有名だが、台湾中部の古い町といえば鹿港とのことである。が、路地を歩いてもピンとこない。古い町といっても部分的にしか残っていないようで、のどかな普通の田舎町である。寺の山門では供物売りのオバちゃんにつかまり、さらに道に迷う。慣れないことをするのは良くない。こんなことなら大人しく九份に行っておけばよかった。

一勝一敗くらいの一日が終わって台北に戻った。台湾中部は暑く、日中は29度くらいあるなかを一日中歩いていた。僕は普段は大して歩かない、運動不足オッサンである。しかもデブは暑さに弱い。

故宮に行かずして機関庫に行き、九份に行かずして鹿港にいった。普通の観光地には行けない性格。ひねくれた性格ゆえに暑い中を歩き回り、疲れ果てたせいか帰国後に風邪をひいた。やはり慣れないことをするのは体に悪い。