今回の旅行では、鹿港への移動日を1日とっていたのだが、晴天を求めて枋寮で延泊する事にしたので、予定が空いてしまった。枋寮はマンゴーと漁業で有名らしい。漁港が好きな僕としては枋寮漁港を見に行くべきなのだろうが、予報によると、3日目も枋寮は小雨だった。多少なりとも西に行くのが良いようで、高雄は曇り程度らしい。今回は高雄へ行く予定をしていなかったが、予定変更を奇貨として、高雄を訪問する事にした。
僕は計画性の権化なので、行き当たりばったりの旅をしないようにしている。前夜に慌てて高雄について調べ始めた。一般的な観光ガイドに出てくるような、博物館や高層ビルには興味がない。色々と探し求めた結果、野菜市場、製糖工場跡、そして灯台を見に行く事にした。
長閑な田舎町の良い所なのかもしれないが、枋寮のホテルの朝食は8時からである。しかも朝食がセールスポイントらしく、かなり豪勢な朝食が出てくるのだ。あまりに多過ぎて食事時間が台湾国鉄のスケジュールとは合わないし、そもそも朝食を食べるタイプでもない。この日からはフルーツとパンだけに変えてもらった。コスト的には見合わないが、時間的には万全の体制で高雄に向かった。
高雄駅で特急を降り、まずはタクシーで野菜市場へ向かった。アジアのゴチャゴチャ市場と思いきや、かなり整然としている。市場内を何周かして撮影を終了。Uberでタクシーを呼んでランチの店へ向かった。旅の拠点を枋寮にしたため、移動時間が長くて十分な夕食時間が取れず、今回の旅行では最高級のレストランである。
優雅な昼食を終えると、地下鉄に乗って製糖工場跡へ向かった。地下鉄で行けるくらいなので近隣にあると思いきや、意外に遠かった。日本統治時代に作られて稼働を休止した工場を見学できるのだが、かなり巨大である。当時の機械類が残っていて迫力があるが、観光地というよりも廃墟に近い。むしろ僕には好ましいのだが。
最後が旗後灯台 (高雄灯台) である。地下鉄で市内に戻り、フェリーに乗船して向かう。こちらも日本統治時代に作られたものらしいが、手が入っていて美しい状態を維持している。天気が悪いながらも、夕暮れになれば、写真的には気にならない。
こちらは製糖工場とは比較にならないほどの観光地である。平日だったにも関わらず、なかなか人が画角から外れるタイミングを取りにくく、結構な長居をしてしまった。夜景まで堪能して再びフェリーで街に戻った。
帰りの電車まで時間があったので、パイナップルケーキを買いにベーカリーへ行くことにした。色々な受賞歴のある有名店らしいのだが、アクセスがイマイチ良くない。
フェリーを降りるとタクシースタンドがあって、ちょうど1台止まっていた。Uberでタクシーを呼べば無難なのだろうが、鹿港での悪夢が蘇った。この手の乗車場でのタクシーは、行き先の指示や料金など、当たり外れの差が激しい。もっとも台湾のタクシーは概ね問題ないと分かっているし、いまやアプリで会話もできる。何とかなるだろうと思って乗車。
ちょっと日本語のできる、演歌好きのドライバーだった。アプリ経由で会話しつつ、演歌を聞きながら高雄の街を走る。しかもベーカリーで買い物が終わるまで待っていてくれるとのこと。ありがたい。結果的に余裕をもって高雄駅に戻ることができた。
微妙に時間があったのでGoogle Mapで探してみると、排骨弁当の店があった。駅以外で排骨弁当を買うのは初めてである。付け合わせを選べるようなのだが、よく分からないでいると、先客に注文方法を教えてもらった。先程から助けられてばかりである。
高雄駅の広場には飲食禁止と表記があったものの、弁当を食べている人が数人いた。他人がやっていれば、何とかなるだろうと思うのが日本人の性である。帰りの列車に乗る前に夕食を済ませることができた。
降ってわいたような一日だったが、幸いにも高雄では雨は降らずに済んだ。高雄で地元の人に助けてもらい、今日も終わり良ければ全て良しである。