たぶん10年ほど前だったと思うが、知人に連れていってもらった寿司屋で美味しいウニを食べたところ、礼文島産バフンウニとのことだった。どうやら関係者がいるらしく、店には礼文島のポスターも貼ってあった。絶景の島に、高山植物の花々が咲いている。美しい自然と旨いウニ。礼文島に行ってみたくなった。
ちょっと調べたところ、シーズン中は非常に混んで宿泊費も高騰するらしい。数ヶ月も前から予約して、現地に行って雨だったらシャレにならない。あまり乗り気にならないまま、何年も過ぎていた。
日本国外からの観光客がおらず、国内移動にも制約がある今年は、花が咲き乱れるシーズン中に礼文島を訪問するチャンスではないか。しかも9月が有効期限のANAクーポンもある。
まずは宿を探す。さすがにガラガラというわけではないが、金曜から2泊できる日程を見つけて予約した。
行きはANAで羽田から稚内まで直行便、稚内からはフェリーで礼文島に向かう。帰りはフェリーで利尻島に渡り、JAL系のHACで利尻空港から札幌・丘珠空港へ。そして丘珠空港から新千歳空港まで移動し、新千歳から羽田に戻る。6月中旬の訪問予定として、2泊3日のスケジュールで手配した。
しかし、5月末の土曜日、携帯を見ると北海道からの着信履歴が2件。嫌な予感しかしない。コールバックしたところ、予約した宿は営業休止、フェリーは閑散期ダイヤで運航とのことだった。
今回は礼文島訪問を素直に取りやめることにした。
それでも休みを取ってしまっており、マイレージ特典航空券で行けそうな所を探す。本州以南は梅雨の時期であり、気候的には北海道が良いのだろう。知床か根室あたりに行ってみたかったのだが、施設などの休業が多くて挫折。
多少なりとも地理が分かっている場所の方が良いかもしれない。
そういえば昨秋は釧路に行ったが、釧路湿原で良かったのが温根内木道である。帰りの路線バスの時間もあり、ちょっと慌ただしい滞在になったのが心残りだった。
天気予報を眺めていると、釧路方面は悪くなさそうだった。ギリギリで釧路ゆき航空券とホテルを予約した。
これで2回目の釧路である。去年と同じことをしてもしょうがないので、今年は車を借りることにした。
僕は車の運転が嫌いなので、免許証を身分証明書としてしか使っていないオッサンである。自分で運転したのは、2016年にハワイへ行った時が最後だ。
前進と縦列駐車だけできれば何とかなるようなカリフォルニア州で免許を取ったので、基本的には前進あるのみ。日本でデフォルトになっている、バックでの駐車には非対応である。
それでも北海道の原野で小型車の運転なら何とかなると思って、レンタカーを予約した。一番レンタル料の安い軽自動車に、最高額の保険をかける。経済学の教科書に出てきた「モラルハザード」という言葉が頭をよぎる。もう正確な意味は忘れてしまったが。
釧路空港に到着し、レンタカー会社の事務所で借り出しの手続きを行った。エンジンとサイドブレーキがボタン操作なのはしっくり来なかったが、運転は慣れれば何とかなるだろう。少なくとも原野にいる限りは。
滞在中は釧路湿原のほか、川湯温泉や厚岸まで足をのばした。やっぱり車は便利である。途中、厚岸漁協の直売所で本格的な駐車場に遭遇して焦った以外、2泊3日を無事に乗り切って釧路空港に戻った。
車を返却後、空港のレストランに入って、サッポロクラシックとザンギで乾杯。ビールがうまい。