旅行先を選ぶ基準は色々だが、結果的に酒関係に落ち着くことが多い。酒関係と言っても、スコットランドのように酒造の場合もあるし、スペインのようにバー関係の場合もある。
キューバと言えばラム。
キューバでラムと言えば、普通はハバナクラブに行く。酒としてのハバナクラブに不満はないが、事前に調べた限り、ハバナクラブは製造過程を見せてくれない。要は単なるミュージアムである。そんなのイヤだ。
だが色々と調べても、ハバナクラブ以外の蒸留所に行ったという話は聞こえてこない。そもそもハバナクラブが唯一の輸出銘柄なので、ハバナクラブ以外の銘柄を知らないせいもあるが。
ハバナに駐在員のいる旅行会社に聞いてみたところ、ハバナクラブ以外で観光客が見られるラム蒸留所は二カ所しかない。らしい。基本的に国営企業なので、非公開の蒸留所に行き着くためにはキューバ政府の許可を得なくてはならない。らしい。思い起こしてみると、かなり前に日本の洋酒メーカーの人にも同じ話を聞いた。
二カ所のうち、一つがハバナ市内にあるとのことで、そこへのガイドを依頼した。
が、旅行会社の返事は微妙に曖昧だった。
・販売がメインなので、見学できたとしても20分くらい。
・原料がないと稼働しない可能性もある。
とのこと。道理である。たぶんサントリーは口が裂けても言わないと思うが。
正式に依頼すると、旅行会社の人が蒸留所に電話で確認してくれたが、見学の確約はできないとのことである。やむを得まい。
ハバナに着いた翌朝、ガイドの兄ちゃんにピックアップしてもらい、ラム会社に行った。ラム会社のオッサン曰く、ハバナでしているのは熟成とボトリングだけとのことである。だから、ここは蒸留所ではない。
ラム会社では最初にボトリング工程を見せられた。どう考えても酒造における最後の工程である。これで終わり?
かと思いきや、その後、ドアの後ろの熟成庫に入れてくれた。しかもカメラを出しても制止されない。左のポケットに贈賄用の5ユーロ札を持ってきたのがアホみたいだった。