ひとよしのおもいで

毎年、友達オッサンと旅行に出かけている。しかし、昨年、キューバに行ったところで燃え尽きたようで、今年はイマイチ盛り上がらなかった。

よくよく考えると、そのオッサンと旅に出始めたのは、バーで酔っ払った勢いで、キューバに行こうという話になったせいである。

その翌年、なぜかサンフランシスコに行き、その後は香港マレーシア台湾と、アジア方面でお茶を濁していた。そんな幾星霜を経て、ついにキューバに到達したのである。

キューバ行きでオッサン達のミッションは完了だったのではないか。そもそも酒場での話は実現しないものと相場が決まっているが、それにも関わらず実現したのだ。

そこで終わるのが美しい。

とはいうものの、習慣というものは継続性が重要である。習慣を継続するうち、それは文化へと昇華する。

文化を築き、そして後世に残すべく、盛り上がりに欠くなかでも継続性を維持しようと思い、今年は日本国内に出かけることにした。

行先は人吉である。温泉があり、SLも走っている。球磨焼酎もあるし、球磨川で川下りができる。オッサン達には遊園地のような場所ではないだろうか。ビールと焼酎を買い込んでSLに乗り、焼酎蔵を訪ね、温泉宿で更に焼酎を飲みながらグダグダしていた。

オッサン二人が座敷でグダグダしている様からは、文化が生まれそうな気配は感じられない。悪習という文字が頭をよぎる。悪臭も仄かに匂う。

たしかに文化創造への道のりは長いが、しかし、それを目指して継続してみよう。このまま燃え尽きても、カスしか残らないので。