11月下旬あたりから、どうも人生が芳しくない。オッサンたる者、人生は芳しくないものと相場が決まっているが、それを割り引いてもダメである。ロクでもないことばかり起きる。よくもこれだけ災難が発生したと思う。
僕には謹賀新年の心がわからない。謹賀新年の心はわからないものの、しかし、このまま年を越していいのかという気にはなる。テレビのコマーシャルでも、今年の汚れは今年のうちにキレイにしろと言っていたし、悪い流れは断ち切っておかないといけないのだろう。
苦しい時は神頼み。
お祓いに行こうと思った。近所の神社のホームページによると、厄除け、家内安全、商売繁盛などを随時受け付け、一件につき5千円から3万円とのことである。
厄年でもないのに、悪いことが重なったというだけで、お祓いをしてくれるのだろうか。しかも5千円から3万円という価格設定は幅が広すぎる。実際の値段は依頼内容によるのだろうか。悪いことが重なったと申告すると、カスタムお祓いなので3万円とか言われそうである。年齢詐称して、通常の厄年のお祓いに混ぜてもらうことも考えたが、神主には年齢詐称がバレなくても、神には年齢詐称がバレそうだ。なんといっても神は神様なのである。
決心のつかぬまま、それでも1万円札を1枚だけ握りしめて神社に向かった。足元を見られて3万円と言われても、ないものはない。ぼったくりバーではないので、見知らぬ借用書を書かされるとか、実はクレジットカードが使えるとかいうこともなさそうである。
近所の神社といっても、それなりに大きい神社であり、ちょっとした観光地でもある。社務所に行くと、お札やらお守りやらの販売が盛況だった。社務所の隅の方にはお祓いの申込書があったが、申込書の記載台はないし、ボールペンすら置いていない。神社の人は販売で忙しそうであり、雑踏の中、お祓いの相談と料金交渉をするには気がひける。
社務所を出て本殿に戻り、通常の参拝でなんとかしてくれるよう神様に依頼した。本来であれば懇願すべきであったが、観光客で混んでいたので、頼み込む時間がなかったのだ。
ちょっと奮発して御賽銭200円。なんとか手を打ってもらえないだろうか。