人は人生において、しばしば道に迷う。下手をすると、道を踏み誤る。迷うも踏み誤るも大した違いはなさそうにも見えるが、迷うくらいだと多少の経済的損失で済みそうなところ、踏み誤ると法律の下で更生する必要が出てきそうな気がする。
僕はジョージタウンで、しばしば道に迷う。
前回、ジョージタウンで道に迷っていると、なんだか素晴らしい通りを見つけた。
ジョージタウンといえば、植民地時代のイギリス風の建物もいいが、ショップハウスというローカルな古い街並みがいい。ただ、電飾の看板が付いていたり、手をかけられていなくてボロボロだったり、なんとなく落ち着かないことも多い。
その通りの一角には、手をかけられてホテルになっているシッョプハウスがあったり、その他の普通の民家もなんとなく地味で風情があったりと、落ち着くのである。
その時は炎天下で道に迷っていたので、絶望的になりながら通り過ぎただけだった。
今回もその通りを訪ねてみたいと思っていたが、ホテルの名前も忘れてしまったし、地図からは場所の想像がつかない。
それでも相変わらず道に迷っていたところ、なんとなく同じ通りにたどり着いた。
黄昏時、そんな道を歩くと実にいい。夕立後は多少涼しくて、心に余裕もある。
場合によっては道に迷うのも悪くないと思った。ただし、スコールがあるせいか、ジョージタウンの側溝は深めに作られており、道を踏み誤ると更生の道のりは厳しい。