ミラノで半日あったら、どうしようか。
とりあえず5時に起きて、ガッレリアに行った。僕はダビンチの絵には興味はなく、大聖堂のテラスに興味もなかった。ミラノと言えばガッレリア。
ガッレリアと言えば谷中銀座の豪華版みたいなものだから、買い物をしにいくべきところなのだろうが、僕はガッレリア自体を楽しみたい。ガッレリアの営業中は、プラダに行く奴もいれば、カフェにいる奴もいるし、僕と同じようにガッレリアを見に来る奴もいる。やや騒々しく、風情は感じられない。牛の股間で回るのにも順番待ちするほどである。
故に早朝にガッレリアに行ってみた。
早朝のガッレリアは仄かに明るい空がガラスドームから見え、街灯がついており、人もまばら。ガッレリア自体を眺めるには良い頃合いと言える。
ちなみに谷中銀座にも風情はあるのだが、プラダに行く奴は通らないし、酒屋の前でビール飲んでるのが精一杯で、むしろ下町の風情である。明け方には散歩してる老人くらいしかいないが、風情を感じる前に、朝まで飲んでしまった後悔の念に襲われるのが関の山だ。
牛の股間も十分に堪能したのち、ホテルに戻る。眠い。わざわざ5時に起きたからだ。朝から昼寝。アホだ。
8時まで昼寝をして、フェルネット・ブランカ (Fernet Branca) のミュージアムに行った。イタリアが誇る輸出品は多くあるが、フェラーリやらアルマーニを越えて、フェルネット・ブランカが最高ではないだろうか。車でも服でも革製品でもなく、酒である。苦い薬草酒だ。基本的にはウイスキー飲みの僕だが、単一の生産所としては最も多く飲む酒である (ウイスキーは蒸留所の数が多いから)。記憶を失いかけていることが多いので定かではないが、たぶん月に1本くらい飲んでいるはずである。
それがミラノで生産されている。これは表敬訪問せずにはいられない。地下鉄に乗って、昔はミラノの外れだった工業地帯に出かける。1時間少々のツアーの後、酔っぱらっていた。
美しいものを鑑賞し、牛の股間を堪能し、酒に敬意を払い、昼寝をした上に酔っぱらった。極めて生産的な半日を過ごした。ミラノは素晴らしい。