2月に木曜〜金曜の理想的な日程で福岡出張が入った。金曜の夕方前にはフリーになる、ほぼ遊びのような日程らしい。せっかく九州に行くので、数年前に行った天草の寿司屋を再訪したいと思い、プランニングを始めた。
数年前は熊本県・人吉のSLと温泉がメインだったため、熊本市から天草に向かった。天草諸島を陸路で移動する風景の良いコースだった。このルートをベースにすると、博多から熊本まで新幹線、熊本駅前からバスになる。所要時間は3時間以上。遊びのような日程ではあるが、一応は出張なので、たぶん金曜のディナーには間に合わない。
前回の訪問時に寿司屋のオッサンから聞いたのだが、天草には空港があり、福岡空港から天草まで天草エアラインというプロペラ機が飛んでいる。らしい。
これに乗ることにした。飛行機だと福岡空港から40分ほどで天草に着ける。空港までの移動を考えても1時間半あれば問題ないだろう。
時刻表を見ると17時前に福岡を出発するフライトがあった。ほとんど遊びのような出張日程であり、出張先と言っても知り合いみたいなものだ。余裕だろう。早々に17時の飛行機の予約を入れた。そして19時に寿司屋を予約。
これが失敗の最初だった。
遊びのような日程だと思っていたが、厳密には遊びではなかった。しかも博多周辺だけで用事が済むと思いきや、北九州市にも行かなくてはならないことが判明。
やむをえず天草エアラインを19時の最終便に変更する事にした。お店に泣きついて、予約を20時に変更。空港から直行すれば間に合う筈である。
当日は全ての打ち合わせを早回しで乗り切った。そこそこ余裕を持って16時半に小倉から新幹線に乗車、博多に戻った。
念のために天草エアラインのサイトで運航状況を確認すると、その日は午後から遅延が生じていた。すべてのフライトを1機でまわしているので、遅れは避けられそうにない。
福岡空港でチェックインすると、天候次第では熊本空港からジャンボタクシーで天草まで送るとのこと。マジか。。。
結局、20分ちょっとの遅れで、20時5分に天草着。空港ビルから駆け出ると、そこにはバスもタクシーもいない。バスは飛行機を待たずに出発していたし、そもそも他の乗客は全員が地元の人だったらしく、タクシーの需要はない。
公衆電話の横に書いてあった電話番号でタクシーを呼んだ。すでに店の予約時間に遅れていたにもかかわらず、タクシーが来るまで15分ほどロスしてしまった。
20時半過ぎ、やっと寿司屋に到着した。22時閉店のところ、ズルズルと22時半まで開けてもらった。申し訳ない。2時間とは思えないほどの寿司を食べ、天草の焼酎を浴びるように飲んだ。
今回の天草は、遊びのような出張の延長のため余裕だと思って予定を作り込まなかったが、基本的に旅はプランニングに尽きると思っている。根拠のない自信をもって余裕と構えている時に限ってハマりやすいのは、旅も人生も同じなのだろう。
ちょっと前に「深夜特急」の作者である沢木耕太郎氏のオンライン記事を読んだ。偶然こそ旅の醍醐味、とのことである。
そう言われれば、そうだろうとは思う。バックパッカーとは対極の旅行スタイルの僕には、どうもしっくりこないのだが。よくよく考えると、マカオやバンコクについて熟練の旅人のようなことを書いているが、僕は「深夜特急」を読んだことすらなかった。やっぱり僕は本質的にバックパッカーにはなれないのだろう。