夏休み特別読み物:旅に出る

2年前のG/Wはロシアのウラジオストクに出かけた。成田からのS7航空である。

その年のG/Wは4連休が取れ、自宅でゴロゴロして時間を浪費するのも馬鹿らしかったので、なんとなく航空券が安そうな場所を選んだ。

今年のG/Wは中国の杭州に出かけた。成田からのANAである。

世間は10連休だった今年のG/Wだが、僕は4連休。どこへ行くにも異様な高値だったが、自宅でゴロゴロして時間を浪費するのも馬鹿らしかったので、かなり探して航空券が安い場所を見付けた。

以前、知り合いのオッサンから、僕が頻繁に旅行に行くのは「休みになったら旅に出ないといけない」という強迫観念のせいではないかと指摘を受けた。

そうかもしれない。しかし旅行以外に4連休もの休みを潰す術がないのも事実である。

そもそも僕の場合は旅行が趣味なのだ。厳密には旅行の過程が趣味である。

あまり意識することはないが、旅行は複数のプロセスから成り立っている。と思う。

1. 行き先を探す → 2. 計画を立てる → 3. 予約をする → 4. 荷造りをして空港に行く → 5. 飛行機に乗る → 6. 目的地で過ごす → 7. 写真を撮る → 8. 帰りの飛行機に乗る → 9. 写真を整理する → 10. ブログを書く

一般的に旅行とは旅行先のアレコレを楽しむものである。すなわち6と7がメインのイベントだろう。

世の中には飛行機好きも一定数いるので、飛行機に乗っていること自体が好きなケースもありうる。僕の場合、数年前にギックリ腰になって以来、飛行機は苦行でしかない。5と8は無い方がいい。

僕が好きなのは、実は1から4である。

特に2と3、つまり計画と予約が好きだ。普通の観光地では満足できないので、ちょっと変わった場所を探したい。写真とブログを考えると旅行先の晴天率は気になるし、どこかを訪問するにしても、写真撮影を重視して時間帯を選びたい。全ての要素を妥協なく日程に落とし込み、なるべく現地ツアーに頼らず移動したい。

旅行の計画自体が趣味なのだとすると、たしかに知人オッサンの指摘通り、物理的な外出は強迫観念によるものかも知れない。

そんな僕の旅行気分のピークは空港に向かう途中である。せっかちなせいもあるが、空港往復には無駄に金をかけることが多い。成田空港であればスカイライナーに乗りたい。

計画だけで満足できるのであれば、予約直前で止めても良いのではないか。高揚感を得るためであれば、スカイライナーに乗るだけで良いのではないか。

究極のところ、全ての予約を入れ、スカイライナーで成田空港まで行けば、趣味的には十分である。スカイライナーに乗り、予約をキャンセルしながら成田空港まで往復すれば良いだろう。どう考えても迷惑な行為ではあるが。

非常識とか迷惑はさておいても、旅行の予約を入れて成田空港に行くだけでは、やっぱり人生の楽しみからは遠い。人生には無駄が必要であり、そのためにも物理的な旅行をしたい。旅に出るとは、人生に必要な無駄ということになる。

バカボンのパパのように「それでいいのだ」と納得してスカイライナーに乗った。今年のG/Wのピークだった。