さて、やっとバルの話である。食中毒の話とか、牛の話とか、前置きが長いんだな。
英国とアイルランドにはパブがあり、香港には飲茶があり、スペインにはバルがある。バルセロナのバルについては情報過多というか、色々と記事が多い。そのなかからピックアップして行ったせいもあるが、アタリが多かった。とりわけ友人行きつけのスペイン・バルで教えてもらったCal Pepは大アタリだった。そしてハズレは限りなく少ない。今回も裏付けられた持論: マヨネーズが美味しい国は裏切らない。
それなりに有名なバルは大体において小奇麗だった。バル (Bar) だからバーに近いと思いきや、むしろレストランに近いような店が多い。
しかしバルとは小奇麗なレストラン風のものなのか?
バルといえばオッサン達が朝からコーヒーを飲み (この時点で酒を飲み始めてもかまわない)、一日に数度やってきては酒を飲んだり、軽く食べたりする場所である。オッサンが集う場所である以上、むしろコキタナイほうが正しいのではないか。
そこでオッサンが生息してそうなバルを探し始めた。旧市街の広場に一軒、古い感じの店を見つけた。入り口あたりには酔っ払いオッサンがたむろしており、店内もモダンとは遠い感じである。最初に発見したときは酔っ払いオッサンが多すぎて入れなかったが、その後、探訪に出かけた。全体的に地味な時間がゆっくりと流れている。タパスは感動するほど旨いわけではないが、普通においしい。それでいいじゃないか。スタンディングで酒をのんびり飲み、一品か二品つまみ、「あでぃおーす」とか言いながら帰る。素晴らしいバルだ。結局、何度も行った。
そして、もう一軒見つけた。旧市街の路地を歩いていて肉屋を見ると、肉屋の奥に酒瓶が並んでいて、簡単なテーブルもある。肉屋酒場だ。
だが、それでも二軒だけだ。バルセロナで僕のイメージに近いバルを見つけるのは難しかった。観光地だからだろうか。カタルーニャのオヤジ達は、一体どこに巣くっているのか。