ちぇんじ

ヨーロッパの旅から帰ってくると、翌朝、財布をなくした。ふと気付くと財布を手放しており、そのまま行方不明になってしまったのである。

財布の中身は主として金であり、金は本質的に行方不明になりがちである。

しかし財布の中には金の他にも色々と入っており、それらは本質的に行方不明にならないことを前提に作られている。とくに免許証、保険証など。

免許センターにいって再交付の申請をし、健保組合に顛末書を出す。高校以来の、言い訳と反省文の日々である。

いまどき個人情報にはパスワードがかけられており、スマホであれば所在地の特定にとどまらず、内容をリモートで消去できる時代である。

それに比べて財布のなんとアナログなことか。財布にはタッチIDはおろか、パスコードすら実装されていない。にもかかわらず、中にはサインも暗証番号もいらない金があり、住所やらなんやら記載されている身分証明書が入っている。

いまどき、こんなでいいのか。物事を本質的に変える必要がある。

財布業界にはセキュリティ対策を、身分証明書業界には紛失対策を、現金業界には行方不明対策を求めたい。そうしたら僕の言い訳も反省文も不要になる。そして後悔も不要になる。