ブリテン島では基本的にスコットランドを目指すことにしており、乗り継ぎなど以外、あえてロンドンに滞在することはない。今回もオリエント急行に連れて行かれるがまま、なんとなくロンドンに行ってしまったようなところがあり、どうもロンドンは食わず嫌いである。
拒否できないときのみ、止むを得ず。僕の中ではロンドンと生牡蠣は同じポジションである。
どうもロンドンは微妙だと思っていた。物価は高いし、発音できないような地名は多いし、わざわざ行きたいようなレストランもない。
今回のロンドンではビール醸造所に行ってみた。ここ数年、cask conditioned aleという、ハンドポンプで注ぐエール・ビールに興味があり、日本では飲む機会も少ないので、試飲がてら見に行こうかと思ったのである。
Tubeにのってロンドン郊外のFuller’s Breweryへ。テムズ川沿いにあるLondon Prideの醸造会社である。
醸造所の脇に直営のパブがあるが、金曜の午後に行ったせいか、すでに従業員が飲み始めていた。全体的に週末の気分が漂うなか、気のよさそうな爺ちゃんのガイドでツアー。ビールの製造工程はウイスキーの製造工程の前半とほぼ同じなので、たいして発見はない。むしろ興味は試飲場で、ポンプ式のサーバーはどういう構造になっているのか、である。「どうなってるのよ?」と聞いたところ、いろいろ説明してくれて、「じゃ、やってみろ」とのこと。
つまりは、そういうことである。人生、試して分かることも多い。食わず嫌いは良くないと思ったが、それでも生牡蠣はイヤだ。