



昨年の正月休みは、お買い得な台湾往復航空券の発掘に成功したが、今年の正月は良い案に辿りつかないまま日が過ぎていった。年末のピークを避けると12月31日か1月1日の出発が良いように思えたが、会社のスケジュール上、帰国は1月4日とせざるを得ない。日程的にはタイトだが、家でゴロゴロしているには少々長すぎる。何かすべきだとは分かっていたが、何をすべきか分からなかった。つまり自分は何も分かっていないと分かっていたのだ。これはソクラテス言うところの、無知の知ではないだろうか。
昨年9月下旬にウズベキスタン旅行から帰って一息ついていると、ANAが特典航空券のマイル半額キャンペーンをやっていた。年末年始はピーク時なのでキャンペーン除外期間だろうと思っていたのだが、その期間も中国本土路線だけはキャンペーン対象だった。しかし昨年は8月に四川省へ行っており、更に11月には桂林へ行く予定をしていた。当面は中国本土以外の目的地を探したい気分だった。
そういう時には香港がある。
もっとも年末年始の香港線はキャンペーンの除外期間だった。しかし桂林へのゲートウェイでもある広東省広州は当然ながら中国本土であり、広州から香港まで高速鉄道を使えば1時間ちょっとで行ける。特典航空券はキャンセル待ちだったが、キャンペーン最終日、広州路線に賭けてみることにした。
その後、改めて調べたところ、ANAは香港の隣にある深圳にも飛んでいた。数年前に深圳へ出張に行った時は、香港空港から高速艇に乗った記憶があるので、想定外の空港だった。しかもボーイング787で運航されている深圳便の方が、ボーイング767運航の広州便よりも空席が多く、香港への抜け道としてはベターだった可能性が高い。しかし気付いた時には、既にキャンペーン期間が終わった1時間後だった。思い付きなので、所詮その程度なのだろう。
ジタバタしても意味がないので、あとは果報を待ってみよう。
果報は寝て待てとは言うものの、そんな事が僕にできるわけはない。翌日、ネットで調べてみると、特典航空券の空席待ち人数を把握する方法があるようだった。それによると往路は2名で、単純に妻と僕だけの模様。問題は帰路で、なんと25名以上もいた。
そこまで物事が上手くいくとも思えなかったので、安いうちに深圳への航空券を購入する事にした。香港直行便の半額くらいである。1月の香港は乾季でもあるし、お買い得な航空券を見つけたと言って良いだろう。
いずれにしても、果報を寝て待つのとは、真逆の結果である。ある意味で想定通りなのだが。
前回の香港滞在はタフな深圳出張の帰りだったので、航空券は無料とみなして、インターコンチネンタルに泊まった。立地が便利で、美しい香港のスカイラインが楽しめるホテルだった。今回、なにも考えずに予約サイトを見たところ、香港経済の停滞が円安の影響を打ち消しているような価格設定だった。ここに泊まってしまおう。
さすがに12月31日のホテルは高いので、元旦のフライトを予約して正解だったのだろう。羽田空港はターミナル2だったが、国内線出発ホールに赤福の臨時売店が出ていたので購入。赤福好きとしては、新年早々、幸先が良い。
当日は搭乗予定の深圳便を含む多くのフライトが搭乗ゲート混雑という理由で遅れたものの、あまりシリアスなインパクトなく、深圳空港に着いた。この空港で中国に入国した後、陸路で香港に入境すればいい。香港まではパッケージツアーのようなルートになっており、指定されたバスを尖沙咀で降りて、Uberでインターコンチネンタルへ向かった。
車がホテルのエントランスに着いた時点で違和感があった。チェックインするフロントも、何か違って感じた。そして部屋に入ると明らかに違っていた。これは新年早々、しくじりをした気がする。先ほど羽田空港で幸先が良いと思ったのは、幻だったのだろうか。
記憶を掘り起こすと、以前に泊まったのはIntercontinental Hong Kongだったが、このホテルはIntercontinental Grand Stanford Hong Kongである。そういえば香港の尖沙咀側にインターコンチネンタルが2軒あったと思い出したところで、もう手遅れである。
とりあえず海辺の遊歩道へ散歩に出かけた。しばらく歩いて、やっと最初に考えていたホテルを発見した。そのホテルはRegent Hong Kongにリブランドされており、あとで調べたところ、値段もリブランドされていた。
これを知っていたら、香港に行かないという選択に至った可能性もある。無知であることは力である。ソクラテスとは違う意味で捉えている可能性はあるが、僕の今年のテーマは無知の知なのだろう。







